異年齢保育のなかでそれぞれの個を伸ばす
今回訪れたのは、北九州市若松区にある『かもおだこども園』。洞海湾と響灘に囲まれた若松区は北九州市の北西部に位置し、トマトやスイカの産地として有名な地域だ。
JR博多駅から折尾駅まで快速列車で約50分(特急ソニックで約30分)、そこから筑豊本線に乗り換え、二島駅で下車し徒歩で約20分というアクセス。交通の便はあまりよいとは言えず、自動車通勤やバス通勤が主のようだ。
到着すると、さっそく園長が園を案内してくださった。
「うちの園では異年齢保育をしています。今日は寒さもあって珍しく屋内にいるこどもたちが多いですが、基本的にはいつも外で活動しているんですよ」
みんなそれぞれの興味や直感に従って、好きなように楽しんでいる様子が微笑ましい。
ーー 『かもおだこども園』として大切にしていることはなんですか?
「私たちは、優しさや思いやり、意欲など目に見えないものを大事にしています。一人ひとりの想いを尊重しながら、主体性を育てる保育ができるように職員と日々工夫を凝らしていますね。直接何かを指示するのではなく『見守る』ことをベースにしていて、より見守りやすい環境作りにも取り組んでいます。例えば、こどもたち同士でケンカが起きた際に、ほかの子たちから距離を取って当人たちだけで落ち着いて対話ができるピーステーブルを取り入れることで、自分の想いをきちんと言葉にして伝える大切さを学んでもらっています」
ーー 一人ひとりの個性や成長を見守っているんですね。
「そうなんです。こどもたちの発達の仕方もそれぞれ異なるので、発達に応じた保育を行っています。こどもたちには、自分がしたいことをしてもらいたくて、できるだけ想いや意見を反映できるようにどんなことをしたいのかを聞くようにしています。
例えば、劇の中でどんな役をしたいのか自分たちで決める。劇によっては、男の子役や女の子役がありますが、もちろん別の性別の子がやってもOKです。障がいや性別で区別せず、一人ひとりを認め合うことを実践しています」
ーー 個性を受け入れてもらえるとわかれば、声も上げやすいですね。
「食事の際も量は一律でなく本人に決めてもらったり、小さな意思表明の連続ですね。先生が教えるという形だとどうしても一方的になりがちですが、できるだけ意見を言えたり、主張できるような環境作りを目指しています。
何をするか決めるときも、選択の余地がある方がいいですよね。今日はみんな工作をしていましたが、ほかの子が工作しているなかで自分は外で別の遊びをする、というのもOKなんです。そういう環境を最大限に作ることが、保育士の仕事だと思っています」
平均勤続16年!長く働きたくなる秘訣とは
ーー 長く勤めている先生が多いそうですね。
「開園して今年(2022年)で38年目なのですが、38年勤めていらっしゃる先生もいます。10年未満の先生の方が少ないですね。平均勤続年数は16年くらいだったと思います。子育てをしながら勤めている先生が多いですよ」
ーー 平均16年はすごい!先生方が生き生きと働いていてエネルギーを感じました。
「うちは有休消化率がほぼ100%なんです。お休みは自由に取れるようにしていますし、育休や産休も当たり前に認めています。こちらとしてもみなさんは戦力なので、ぜひ復帰してずっと働いていただきたいという気持ちがありますから。お互いにWin-Winな関係が成り立ったうえで、長く勤めてくれているのだと思います」
ーー 気持ちよく働けるからこそ、先生たちの関係性も良くなって、スムーズに連携できるんですね。
「異年齢保育を取り入れているので、『チーム保育』を推進しています。特定の先生がずっと同じ役割を担当するのではなく、順番でリーダー・サブリーダー・アシスタントなどを交代しながらやっているんです。そうすると誰かが急に休んでも他の人が代役を務められるので、そういう仕組みも働きやすさに繋がっているのかもしれません」
16年目の先生、2年目の先生の視点
次にお話を聞かせてもらったのは、ここで働いて16年目の牛迫先生と、2年目の仲井真先生。歴の長さが全く異なる二人だが、とても息が合っている。
ーー 牛迫先生の感じる『かもおだこども園』の魅力はなんですか?
牛迫「もう16年目なのでたくさんありますが、自然豊かでこどもたちがのびのびしてるところですね。あと、規模的には小さい園なのですが、だからこそいろんなクラスの子たちの姿がよく見えるのがいいなっていつも思います」
ーー 入職を決めたきっかけはなんだったんでしょうか?
牛迫「姪っ子がここでお世話になっていて、自分が高校生のときにお迎えにきたりしていたんですけれども、先生たちがいつもニコニコしているのが印象的だったんですよね。私が入職したときに当時の先生方がいらっしゃったので安心しましたし、すごくうれしかったですね」
ーー 利用者側の視点でいいなと思ったのがきっかけって素敵ですね。仲井真先生は沖縄出身とのことですが、なぜこちらに入職しようと思ったんですか?
仲井真「私は大学進学をきっかけに北九州に来たので、住み慣れている北九州で就職先を探していました。『かもおだこども園』は、異年齢保育をしていると知って興味を持ち、見学をしたのがきっかけです。3〜5歳児が同じクラスで生活をしているので、ちっちゃい子たちを年長さんがお世話したり、逆にちっちゃい子たちは上の子たちの姿から学んでいるのを見て、『すごくいいな、異年齢保育をしてみたいな』と思い決めました」
ーー 実際に異年齢保育を実践してみてどうですか?
仲井真「やっと慣れてきたというか、ちょっとずつわかってきたかなという感じです。先輩方からたくさん学ばせてもらって、大変なときもありますが楽しみながら日々働いています」
たくさん歩いて、たくましくなっていく
ーー 園長が外での活動が多いと仰っていましたが、どんなことをしているんですか?
牛迫「お散歩で近所の田んぼのあぜ道や竹林のなかを歩いたり、秋にはみかん狩りに行ったり。今の公園は遊具が少ないのであまり行かないのですが、こどもたちの興味を刺激するような自然たっぷりの環境が十分ありますよ。
普段からよく歩くので、『かもおだこども園』の卒園児は足が強い!と小学校の先生たちに言われます(笑)。お散歩は往復で1時間くらい歩くので未満児さんはちょっと難しいのですが、いつも5歳児が3歳児の手を引いて頑張って歩いています。今の時期になるともう3歳児もスムーズに歩けるようになって、ペースも早くなるので成長を感じますね」
ありのままを受け入れ合って、強固なチームに
ーー 園見学をさせていただいて、職員のみなさんのチームワークのよさが伝わってきました。
牛迫「お昼寝の時間中に、朝の活動でのこどもたちの様子などを共有しています。もちろんこどもの話が中心ですが、それ以外の話もたくさんしているんです。職員同士、仲がいいのはこの園の大きな魅力だと思いますね」
ーー お休みが取りやすいのも、『かもおだこども園』らしさですよね。
牛迫「そうですね。保育士のモチベーションに直結すると思います。保育士のコンディションはこどもに伝わりやすいので、笑顔でいることはみんな常々心がけてはいるのですが、私生活が楽しいと心に余裕もできますからね。『ライブがあるので休みます』とか、普通に言えるのでありがたいです。シフト制なのですが、急遽早出したいと言ってもすぐに誰かが変わってくれたり、クラスの垣根を超えてスムーズにほかの先生たちとも連携が取れるのがいいですね」
毎日の仕事が楽しくて仕方がない
ーー プライベートもありのままに受け入れてくれる職場っていい環境ですね。
牛迫「年齢や歴に関係なく、先生たちとなんでも話せて、シンプルにみんな仲がいいんですよね。だから、朝起きて『今日仕事行きたくない…』っていうのが16年間一度もありません。毎日楽しくて、一日が終わるのが本当に早いです」
ーー それはすごい…!仲井真先生は、どうですか?今、すごくうなずいてましたね。
仲井真「就職活動で園見学に来たときからすごく雰囲気がいいなと感じていたのですが、実際に働いてみても、上の先生とも他愛のない会話ができますし、本当にありがたいなと思います。休みが取りやすいので、心の余裕ができて全力で仕事に打ち込めていますね」
ーー これからどんな人と働きたいですか?
牛迫「向上心があって、『自分はこれをやりたい!』と意欲的に言える人だといいなと思います。今の職員はみんな元気ですけども、年齢層は高い方なので、フレッシュな新しい風を吹かせてもらって、よりよい園にしていけるといいですね」
朝起きて仕事に行きたくないと思ったことがない、そんな話が強く印象に残った。『かもおだこども園』では、こどもたち一人ひとりの個性や想いを大切にすることはもちろん、職員間の中でも同様に大切にされているのだろう。
法人名 | 社会福祉法人 みどり会 |
園名 | かもおだこども園 |
所在地 | 福岡県北九州市若松区畠田3丁目1-50 |
電話番号 | 093-791-5533 |
園児数 | 80人 |
職員数 | 24人 |
募集職種 | 保育士 |
仕事内容 | 0~5歳までの乳幼児の保育と幼児教育 |
雇用形態 | 要相談 |
給与 | 雇用形態に応じて変わりますので、お電話もしくは園見学にてご説明いたします。 |
待遇 / 福利厚生 | 雇用形態に応じて変わりますので、お電話もしくは園見学にてご説明いたします。 |
勤務地 | 鴨生田保育園 (北九州市若松区畠田3丁目1-50) |
勤務時間 | 7:00~19:00(延長保育も含む)のシフト制 |
休日休暇 | 年末年始休暇(12/29~1/3) |
応募資格・条件 | 保育士免許、幼稚園教諭免許 |
求める人物像 | ・優しさや思いやり、意欲など目に見えないものを大事にできる方 ・一人ひとりの想いを尊重しながら、主体性を育てる保育に向き合える方 |
選考プロセス | 園を訪問いただき、面接を行う。 |
ホームページ | https://kamooda.hoikuen.ac/ |
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